皆さん、一時期ノーベル賞を取ったことで話題になったiPS細胞を覚えていますでしょうか。当時中学生だった私は、病気や怪我などで失われた機能を取り戻すことができるようになるとニュースで報道していたことを鮮明に覚えています。
さて、今回紹介するのはiPS細胞を使った世界初の心筋細胞シートを開発しているクオリプス株式会社です。こちらの会社は、前述したiPS細胞を使った心筋細胞シートを始め、様々な細胞製品の研究開発・製造を通じて医学・医療の発展に貢献しています。心筋細胞シートとは、心筋シート術に使用される自身の細胞を採取・培養した細胞シートです。このシートを心臓の表面に貼り付けることで、細胞からたくさんの生理活性物質が分泌される結果、新しい血管が生まれたり、心筋の繊維化を抑えたりすると考えられており、心機能の改善や心不全による症状の改善が見込まれています。また、自身の細胞が元となっているため、手術後の拒絶反応のリスクが低いそうです。
そんな心筋細胞シートですが、5月29日にヒトiPS細胞由来の心筋細胞シートを国立大学法人大阪大学の拡張型心疾患の医師主導治験に一例目として初めて提供されたそうです。拡張型心疾患症は、心臓の筋肉がとても薄くなり拡張して収縮力が低下する病気で、心臓移植以外に完治しないとされる難病であるため、期待が高まっています。
医療が発達して昔治らなかった病気が治る時代になってきました。少しでも長生きできるようにと汗水をたらし現代医療の進歩に貢献してくださった方々の思いを噛みしめて、自分の人生という大きなデザインを作り上げていきたいですね。