近頃、家の近所でカラスを多く見かけるようになりました。暖かくなって繁殖時期を迎えたのか、はたまた誰かがゴミを適切に処分できていないのか、原因は定かではありませんが出勤時に黒い影が頭上をビュンビュン飛び交っております。たまには白いカラスがいてもいいのですが、ヘンペルのカラスよろしく、もしかしたらこの世のすべてのカラスは黒いのかもしれません。ところで、カラス以外に黒くて当然と考えられているものに自動車や自転車などに装着されているタイヤが挙げられますね。街中を見渡せばどの車のタイヤも真っ黒なわけですが、これはタイヤの補強材として用いられるカーボンブラックブラックという炭素微粒子が要因となっております。ちなみに余談ですが、真っ白とまでは行かなくとも側面の部分が白く塗装されたホワイトリボンタイヤというものが存在することをご存知ですか?
さて今回紹介する東海カーボン株式会社は、炭素製品において日本をリードする創業1918年の会社です。炭素製品と一口に言ってもその種類は幅広く、先ほど紹介したカーボンブラックに加えて、鉄スクラップを溶かしてリサイクルする際に用いられる方法である「電炉方式」に不可欠な黒鉛電極の生産でも多くのシェアを獲得しています。「電炉方式」は文字通り電気の熱を用いて鉄を溶解する方法で、黒鉛電極はその中で鉄を溶かす導電体として用いられています。当然ですが中の温度は高く約1600℃にもなるそうです。黒鉛は熱伝導率が高く、耐熱性に優れ、さらに電気抵抗が低いので大きな電流を流すことができ、まさにうってつけの素材となっております。
一般社団法人日本鉄リサイクル工業会によれば、機械や車などの製造工場から排出される「工場発生スクラップ」と廃車や建物などの使用済み鉄製品から排出される「老廃物スクラップ」を合わせた「市中スクラップ」の年間回収量は約2,365万トン(2020年度)であり、鉄スクラップの発生量も今後増加することが見込まれています。日常的に鉄のリサイクルを意識することは難しいことかもしれませんが、現代社会を生きていく上で鉄を一切使わない暮らしを営むのもまた難しいことです。とはいえこれを機にぜひより広いレベルでのリサイクルや今回紹介した東海カーボン株式会社のようにそれに関わる企業について興味を向けて行きたいと思います。