ゴルフは大人の趣味の代表例として挙げらやすいですが、私が初めて触れたのは学生時代の体育の授業でした。球技はそこまで苦手なイメージは無かったのですが、空振り・クラブを床にぶつけ・明後日の方向にボールを飛ばしてしまい散々だった思い出です。
さて今回紹介するのは、あの「ヨコハマタイヤ」で有名な横浜ゴム株式会社です。ブランドの知名度の通りタイヤ・ホイール事業は横浜ゴム株式会社の中でも特に大きな役割をもっており、普通自動車用のタイヤからモータースポーツ用、農業機械用など、タイヤで地面に接地し走行する車両であれば概ね取り扱っています。一方でタイヤ事業以外も開拓しており、実は横浜ゴム株式会社はゴルフ用品も扱っています。その歴史は1983年からと意外と長いです。背景としては技術進歩に伴うタイヤの長寿命化による買い替え需要の低下ですが、これまでのゴムの技術を生かして、というわけでもないようです。ゴルフクラブがボールに当たる直前のスピード「ヘッドスピード」に着目し、横浜ゴム株式会社はこれを一つの理論としてゴルフクラブ選びの一般的な基準に押し上げました。それまでタイヤやタイヤ関連技術のみに特化していた企業が、ゴルフ業界の中で立ち位置を手に入れてしまったのです。
自分たちの得意分野を生かすのではなく、全く別の新しい強みを作ってしまうという取り組みは、これまで取り上げた企業と比較しても珍しいのではないでしょうか。市場開拓した当時の事情があるとはいえ、実際にこれを成功させてしまうのは、横浜ゴム株式会社の技術者の高い研究力があってこそだと思います。現在はバイオマス由来の合成ゴムによるタイヤについて研究しているようで、こちらも持ち前の研究力で素晴らしい成果を出してくれるのではないでしょうか。