社会に出るとより強く意識しなくてはならないことが公私という概念を持つということです。社内で別の社員と会話する時、取引先で顧客に挨拶する時、家で家族と話すときなど、人間には様々な場面によって適切なペルソナを切り替える必要があります。もちろんこれらはオンオフという極端な切り替わりというよりはグラデーションのようにある程度段階的に切り替えていくものだと思いますが、どちらにしても特に「公」の部分については学生時代以上に気を使わなければなりません。逆に周囲の大人はこれに気を使っているが故にかえって「私」の部分が見えづらくなっているわけなのですが・・・うーん、裏の顔ってやつ?
さて今回紹介するのは巴工業株式会社です。こちらの会社は遠心分離機の製造、販売で国内トップクラスのシェア持つ化学機械メーカーである一方で、鉱産物や樹脂、添加剤などの化学工業製品に関連する素材を海外から輸入する化学品商社であるという二つの顔を持つユニークな企業です。1941年の創業以来その両方の事業を成長させてきおり、片方の事業成績が芳しくなくてももう片方で補うことで会社全体としては安定した業績を残してきました。
興味深いのが、両事業が密接に絡み合っているわけでなくある程度別の会社のように独立性を保っていること。「高い技術と優れた商品を提供し、社会に貢献する」という共通する企業理念を持ちながら切磋琢磨し合い時に補い合うのは良きライバル関係とも言えそうです。そして完全な利敵関係にはない(元は同じ企業体なので)であることから心置きなく競い合うことが可能な点もより良い効果をもたらしていることでしょう。
二つの顔の話をしているつもりが気づいたら理想のライバル関係の話になってしまいましたが、いずれにしろ一枚岩ではないことがむしろいい方向に働くという好例が巴工業株式会社なのかもしれません。