小学校の社会科見学で浄水場等の水処理施設を見に行った経験がある人は多いかと思います。水のインフラは人間が生きるために無くてはならないものであり、ほとんどの人が使用料を支払ってその恩恵を受けているはずです。しかし上下水道は公営事業であり、いち利用者としては市町村区の水道局を相手にしている、という感覚になってしまいます。実際の設備にどのような企業や技術が携わっているのか、なかなか目を向けることは無いでしょう。
今回紹介する株式会社ナガオカは、様々な場所からの取水を実現する取水設備や、薬品を使用しない浄水技術を開発している大阪の企業です。一般的に取水は河川を対象とすることが多いですが、株式会社ナガオカは地下水を利用する技術に長けています。井戸の深さによってスクリーン(土・砂から取水するためのフィルタのようなもの)の隙間が自由に調整可能な技術を開発しており、この高効率なスクリーン技術は2012年の国際水協会の革新的技術表彰制度において小規模プロジェクト部門優秀賞を受賞しました。他にも川底よりも下の地中からの大量取水や、先述したスクリーンを海水淡水化に応用するなど、まさに「ありとあらゆる」場所から水を得ることに注力しているのです。
日本は幸運なことに水資源に恵まれていますが、地表が乾燥している地域は日々の生活用水の確保が難しい場合もあります。自らの得意分野である取水技術を様々な方向に貪欲に発展させていくことで、株式会社ナガオカは世界の水不足に対する救世主になるかもしれませんね。