何かを貼りたいときに使う「セロテープ」や、ちょっとした怪我の時に使う「救急絆創膏」ですが、これらが開発された背景には、実はそれぞれの時代の大きな社会のニーズがありました。今回は、そんな「貼る」文化を日本に根付かせ、進化させてきた会社を紹介します。
今回紹介するのはニチバン株式会社です。1918年の創業時には軟膏を塗布した絆創膏の開発に力を注いできました。創業期から培われてきた絆創膏技術は、戦時中に軍需製品として提供されたことで、社会的に広く認知されるようになります。戦後、GHQの統制下ですべての手紙が検閲を受けていた時代には、検閲後の封筒を再封するための手段が求められました。そこで、絆創膏製造で実績のあった日絆工業(ニチバンの前身)がセロテープを1カ月で開発し、検閲時の再封という大きな社会のニーズに応えます。セロテープの開発の速さと品質は当時GHQからも高い称賛を受けています。
また、1980年代になると、その技術はスポーツや農業分野にも広がります。スポーツ分野では初の国産テーピング用テープ「ニチバン スポーツテープ」を、農業分野では収穫した野菜を傷つけずに束ねることができる「たばねら™テープ」を開発しました。このように、時代のニーズを的確に捉えて形にする姿勢が、現在のニチバンの厚い信頼につながっています。
私が生まれたときには既に当たり前にあった絆創膏やセロテープですが、その誕生の裏には社会のニーズがありました。同じ「貼る」技術でも、用途に合わせて的確にニーズに応えるニチバンの技術力の高さに驚きました。