こんにちは。
今日の日経新聞で、企業間のM&A(合併・買収)による損失が世界的に拡大している、という記事を読みました。M&A価格が高騰していた時期とアメリカ‐中国間の貿易摩擦問題を受けた景気の後退が重なり、買収した企業の業績が低迷しやすくなっているため、こうした事態となっているようです。価格が高騰している要因としては、「のれん」の増大が挙げられています。のれんとは買収代金のうち、買収先企業の純資産を超える部分の金額のことを指す言葉です。買い手企業の資産の一部になりますが、買収先の業績が悪化すれば、資産価値を引き下げる必要が出てきます。基本的に買収と聞くと企業の純資産は増える認識だったのですが、業績が悪化すると、のれんが乗っている分余計に資産が減少してしまうということですね。。
昨年度のM&Aに費やされた金額は世界全体で3.8兆ドルになり、平均の買収代金は買収先企業の14.7倍。買収前と同様の利益とすると買収料金の回収に15年かかることになります。こういったことを聞くと、M&Aはギャンブルのようにも聞こえてしまうかもしれませんが、M&Aによって研究開発が急速に進み大きな利益につなげた事例も数多くあります。こうした期待がのれんに乗っているということなのでしょう。
そこで本日は、日本企業で最大のM&Aを実施した「武田薬品工業株式会社」(以下、同社)をご紹介いたします。江戸時代に大阪で創業した老舗企業で、医薬品の製造・販売を世界90カ国で展開しています。同社は昨年、6兆2000億円でアイルランドの製薬企業シャイアーを買収しました。買収と聞くと企業規模の大きい会社が小さい会社に対して行うイメージが強いですが、このM&Aは国こそ違うものの、ほぼ同規模の会社であるところが非常に面白いところです。買収当時は、株主総会での対立があったようですが、この買収によって同社の新薬開発は一気に加速・増加しており、結果的な期待値は高まっているように思われます。今回の買収で、世界の製薬企業で売上トップ10入りを果たした同社、今後どうなっていくのか注目したいと思います。