社会の歯車

| 小ネタ! |

就職の面接などで問われる「あなたをものに例えるとなんですか」というあるあるな質問に対する答えとして、しばしば「歯車」が挙げられると思います。協調性だったり、チームとの一体感などの文脈で持ち出されるのかと思いますが、歯車はただ単に動力を伝達するだけでなく回転数と回転の強さを調整する大事な役目も担っています。よくある例として考えられるのが自転車の変速機だと思うのですが、例えば平坦な道から急な上り坂に差し掛かった時、ペダルがだんだんと重くなって前に進み辛くなると思います。ですが、ギアを落とすと同じ漕ぎ方でも楽に坂を登れるようになるでしょう。これはギアを落とす、すなわちより歯数の多いギアで動力を伝達することで、車軸を回す力を大きくしたことに起因します。つまり歯車には入力された動力を回転数をふやしたり、車軸を回す力を強くする機能があるのです。そして後者の機能を使った歯車装置のことを減速機と呼びます。そして減速機を使えば小さくて低出力なモーターでも大きな力を得ることができるので、産業用ロボットや鉄道用車両にも利用されています。

というわけで、今回紹介するのは株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズです。この会社の主力製品は社名にもあるハーモニックドライブと呼ばれる減速機で、シンプルな構造と金属のたわみを応用した原理により、小型かつ軽量ながら非常に高い減速比を持つ歯車装置として、産業用ロボットや航空・宇宙分野で多く使われています。また、従来の歯車装置では歯車同士をスムーズに転がすために嚙合部分にわずかな隙間(バックラッシュ)を設けるのですが、ハーモニックドライブにはそれが必要なく、誤差がない正確な位置づけが可能となり高い精度を出すことができます。

冒頭のようなシチュエーションで真の歯車を名乗るのならば、流されてきた動力源をただ円滑に流すのではなく、それを緻密にかつ適切なパワーに直して次の機構に繋げることができるようになりたいですね。

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