私はこれまでに3回転職をしています。
今の時代、特別に多いわけではないと思いますが、それぞれ、転職を決断した
理由も、年収の変化も対照的でした。
ここで、自分自身の事例を例に転職のメリットとデメリットを考えてみたいと思います。

まず、私の最初の転職は28歳の時。あらかじめ断っておきますが、
当時取り立てて将来を見越して、戦略的に転職活動をしたわけではありません。
私が転職を決意したのは、主に次のような理由からでした。

・それまでの企業は、年功序列型の伝統的な中堅企業。
パフォーマンス重視のベンチャー企業に転職して短期間で成長したかった。
・上司が業務権限を囲い込んでいて、部下(つまり、私です)に活躍の場を
与えないため、成長機会を得られにくいと感じていた。
・自身の持つスキルは、少なからずベンチャー企業でも必要とされるはず
という確信(思い込み?)があった。

しかし、今思い返せば、私が当時所属していた企業は化粧品会社。
転職先はインターネット関連のベンチャー企業ですから、
少なくとも短期的に見ればパフォーマンスが下がるのはほぼ確実。
加えて、転職理由も一言で言えば、若い人にありがちな「環境を変えて
もっと活躍したいんです!」的な曖昧なものと言えなくもありません。
それでも年収アップで転職ができたのには理由があります。

ひとつには、私の持つ特性が、転職先企業(以後、A社とします)の持つ
企業文化にマッチしていたことが考えられます。
転職前の企業(以後、B社とします)と違い、A社は伸び盛りの企業だったことも
あり、スピード重視でとにかく行動しながら、会社も社員も成長していくことが
求められていました。
加えて、人とのコミュニケーションを重視しつつ、自身の意見を積極的に打ち出し、
周囲を巻き込みながら実現する姿勢も期待されていました。

A社にとって、成長意欲が高く、自分の持つ能力を使ってどういう貢献が
できるかをはっきり説明する姿勢は経験のなさを補ってあまりあるもの
だったのでしょう。

また、当時A社は注目のベンチャー企業として業績が倍々成長を遂げていたことも
あり、タイミングがよかったことも事実です。
私が入った直後にもっと採用がシステマチックに、そして厳しくなりましたから(笑)

結果的に私は希望通りA社に転職を果たし、B社で5年かかって遂げた成長を
入社後1年で既に遂げてしまうような充実した毎日を送ることができたのです。

この経験から、少なくとも、転職はうまくいけば次のようなメリットがあると
言えそうです。

・自分に合わない風土を持つ企業からの脱出
・ 短期間でのキャリアアップ

2回目の転職は、それから7年後。
1回目とはかなり動機も条件も違っていました。
その頃は、私は30代半ば、子どももいて、しかもこれまたA社とはまったく
異なる業界への転職でした。

やりたいことがかなり具体的、かつニッチだったため、ある企業Cを狙い定めて
転職をしたのです。幸い面談はとんとん拍子に進み、いざ年収の交渉をしようと
いうときのこと。

実は私は一度目の転職の際も人材派遣会社は通していませんでした。
しかし、初回は特別な交渉をしなくとも成長率を加味した年収を企業側から
提示してもらえました。それだけインターネット業界も、その企業も景気が
よかったのです。しかし、2回目の転職は事情が異なっていました。

世の中の景気は相変わらず悪く、さらに私は幼い子ども2人を抱えながらの
異業種への転職にも関わらず、一切の残業はしないなど希望条件を
とことん呑んでいただいての採用を快く約束いただいていました。

そのことに私自身がありがたさと同時に、引け目も感じていたのでしょう。
「年収はいくらを希望しますか?」と聞かれ、自らA社よりダウンした金額を
答えたのです。その時の人事部長の「えっ!それでいいんですか?」という言葉と、
ほっとした表情を今でもはっきり思い出すことができます。

リクルートエージェント(非上場)が2010年9月に発表したデータによると、
転職前後で年収が「前職よりは下がった」が46.4%。一方、「前職よりは上がった」
は38.3%になっています。
さらに、やや古い調査になりますが、1998年のTech総研(非上場)の
アンケート調査によると、「雇ってもらえるだけマシ」などの理由で、転職時に
年収交渉しない人は実に59%。その理由は次のようなものだそうです。

・専門分野が異なり即戦力になれる自信がなかった
・ 雇ってもらえるだけマシ
・ 言いづらいから

なんとも、日本人的な理由だなあと思いますが、その気持ちわかります(笑)
しかし、希望する収入を獲得することなくして、本当の意味で満足のいく転職は
あり得ないことも事実。転職の際は、臆することなく希望年収を伝えましょう。
しかし、どうしてもできない根っからの日本人体質の方は、
人材派遣会社を通しての転職を検討してみるのも一案です。

上場している人材派遣会社

株式会社パソナグループ 
テンプホールディングス株式会社 
ディップ株式会社 

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